「Copilot は名前だけ知っているが、使ったことがない」
「有料と聞いて、そのままにしている」
Copilot について、こうしたご相談をいただくことがあります。
結論から書くと、Microsoft 365 を契約しているなら、Copilot Chat は追加料金なしで使えます。 有料で変わるのは、WordやExcelの中でファイルを直接書き換えられるかどうかです。
この記事では、無料でできること、有料で変わること、そして中小企業での使いどころを説明します。
01
無料でどこまでできるか
Microsoft 365 を契約していれば、Copilot Chat は追加料金なしです。別途契約は要りません。
公式の記載
Microsoft 公式には、こう書かれています。
対象となる Microsoft 365 サブスクリプションを持つすべての Microsoft Entra アカウント ユーザーは、Copilot Chat を追加料金なしで利用できます
無料で使える範囲として、公式が挙げているものです。
- 最新の大規模言語モデルを活用した、Webを典拠とするAIチャット
- 一部の Microsoft 365 アプリで Copilot を使用可能
- 従量課金制でのエージェントへのアクセスと使用
- エンタープライズ データ保護
「エンタープライズ データ保護」が含まれている点が重要です。 会社のアカウントで使う限り、個人向けの無料AIとは扱いが違います。
アイコンが出てこない場合
Word や Excel に Copilot のボタンが出てこないことがあります。理由は2つです。
- サブスクリプションに含まれていない管理者に確認する
- 買い切り版のOfficeを使っているOffice 2019・2021 などは対象外
買い切り版のOfficeでは、いくら待ってもボタンは出ません。 ここを勘違いしている方が多い点です。
02
有料で変わること
アプリの中でファイルを直接書き換えられるようになります。
公式に掲載されている法人向けプランです(2026年8月28日確認・税別)。
| プラン | 料金(ユーザー/月・年払い) | 内容 |
|---|---|---|
| Copilot Chat | ¥0 | 対象の Microsoft 365 契約に含まれる |
| Microsoft 365 Copilot Business | ¥2,698(通常 ¥3,148) | Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams の中で使える |
| Business Premium + Copilot | ¥4,797 | 上記+高度なID管理、機密データの保護 |
Copilot Business は期間限定の割引が適用されています。月払いの場合は ¥2,833 です。条件を満たす Microsoft 365 プランのライセンスが別途必要で、最大300ユーザーまでと公式に記載されています。
有料で増えるもの
- Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams のアプリ内で Copilot を利用
- エージェントビルダーと Copilot Studio でのエージェント作成
- Work IQ を搭載したAIチャット
- エンタープライズレベルのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンス
03
モデルを切り替える
初期設定のまま使っている方が多いのですが、ここで結果が変わります。
無料と有料の違いに次いで、よく話題になる点です。
- 自動タスクに応じて選ばれる。迷ったらこれ
- 速い応答急いでいるとき。深く考えない
- じっくり考えるWord・Excel の作業、資料の分析
急ぎでないなら「じっくり考える」に切り替えます。 契約書の確認や複雑な集計では、ここで差が出ます。ただし出力は遅くなり、消費も大きくなります。
迷ったら「自動」のままで構いません。
04
中小企業での使いどころ
Word と Excel の中で使える形が、最も効きます。
① 業務マニュアルを、制度変更に合わせて一括修正する
一番効果が大きい使い方です。
例えば20ページの勤務管理マニュアル。リモートワーク制度を導入したので、関係する箇所を全部書き換える必要がある。手作業なら半日は潰れます。
Word で Copilot を開いて指示します。
このマニュアルを、リモートワーク制度の導入に合わせて改修してください。 1 出社を前提にした記述を、出社またはリモートに書き換える 2 リモートワークの申請手順を追加する 3 在宅勤務手当の項目を追加する 4 変更した部分は、黄色にしてください
「変更した部分を色分けして」と書いておくと、どこが変わったか一目で分かります。
ここで大事なのは、「編集を許可する」を選ぶことです。
チャットのみ
答えを返すだけ。自分で貼り付ける
編集を許可する
本文そのものを直接書き換える
② Excel の集計を任せる
このシートから、月別・担当者別で売上をクロス集計して、 前月比の列を追加してください。新しいシートに作ってください。
「何を軸にするか」と「どこに出すか」を書きます。これがないと聞き返されます。
Copilot は元データを直接参照する数式を入れます。元データを直せば、集計結果も変わります。
集計結果は1つだけ手で検算してください。 列を選んで、Excel右下に出る平均や件数と照らします。
③ 社内規定を読ませて、質問に答えさせる
Copilot には「ノートブック」という機能があります。Word・Excel・PowerPoint・PDF・WebページのURL を渡すと、その資料だけを読んで答えます。
左上の点々のマークから「ノートブック」を開く
「新しいノートブック」を押して、名前をつける
参照させたいファイルを選ぶ
質問する
就業規則を入れておけば、「夏季休暇の実施期間はいつですか」と聞くだけで答えます。回答には、どのファイルから取ってきたかのリンクが付きます。
④ 会議の議事録を作る
Teams で録画した会議から、議事録を作れます。
この会議の文字起こしを、配布できる議事録に整えてください。 議題ごとに見出しを付けて、決定事項と次にやることを分けてください。
会社に議事録のテンプレートがあるなら、その形を指定します。
⑤ アンケートの自由記述を分類する
社員30名の満足度調査。自由記述欄が30人分並んでいる状態です。
この自由記述を内容ごとに分類して、多い順に並べてください。件数も出してください。
人が読んで分類すると基準がぶれます。同じ基準で一度に分類できるのが利点です。
⑥ PowerPoint の下書きを作る
Word の資料を渡して、スライドの形にします。
このWord文書をもとに、提案用のスライドを作ってください。 各スライドに話す内容のメモも付けてください。
⑦ メールの下書きと要約
長いやり取りの要点をまとめる、返信の下書きを作る。Outlook の中でできます。
05
回答の質を上げるコツ
最初に一度だけ設定しておくと、以後ずっと効きます。
曖昧なときは、推測させない
不明な点があるときは、推測で作り始めず、 足りない前提や情報を先に質問してください。
日時や場所が抜けている資料を作らせるときに、勝手に埋められるのを防げます。
持ち上げさせない
私を持ち上げたり、同意するためだけの返答はしないでください。 常に中立の立場で、私の考えや案に問題やリスク、抜けがあれば遠慮なく指摘してください。
分からないことは、分からないと言わせる
曖昧な場合は「分からない」「確認が必要」と正直に答えてください。 確実性が低いものは、その旨を明記してください。
上司に提出する文書を作らせるとき、これがあるかないかで事故の起きやすさが変わります。
06
向いていない使い方
Microsoft 365 を使っていない会社では、値打ちが出ません。
- Microsoft 365 を使っていない連携が効かない。他のツールを検討
- 買い切り版のOfficeを使っている対象外。ボタンは出ない
- 一度きりの作業設定の手間のほうが大きい
- 数字の正しさが決定的な作業必ず自分で検算する
そのまま提出しない
要約も集計も、下書きとして扱います。日付、金額、担当者名など事実に関わる部分は、元の資料で確認してください。
元データが整っていないと、うまくいかない
結合セルが多い、表記がばらばら、同じ内容の資料が複数ある。この状態では、集計も検索も精度が出ません。先に整えるほうが早い場合があります。
07
入れてはいけない情報
会社のアカウントでも、外部に送っている事実は変わりません。
Microsoft 365 の Copilot は、公式に「エンタープライズ データ保護」が含まれると記載されています。個人向けの無料AIとは扱いが違います。
ただし、それでも次のものは扱いに注意します。
✗ 危ない
「山田太郎、090-1234-5678」という表があります
✓ 安全
A列に氏名、B列に電話番号が入っている表があります。500行あります
会社の規定を必ず確認してください。 情報システムの担当者がいる場合は、使ってよい範囲を先に決めておきます。
08
よくある質問
- 無料で使えますか
- Microsoft 365 を契約していれば、Copilot Chat は追加料金なしで使えます。公式に「対象となる Microsoft 365 サブスクリプションを持つすべての Microsoft Entra アカウント ユーザーは、Copilot Chat を追加料金なしで利用できます」と記載されています。
- Word や Excel に Copilot のボタンが出てきません
- サブスクリプションに含まれていないか、買い切り版のOfficeを使っている可能性があります。Office 2019・2021 などの買い切り版は対象外です。会社のパソコンの場合は、情報システムの担当者に確認してください。
- 有料版はいくらですか
- 公式によると、Microsoft 365 Copilot Business は年払いで月あたり ¥2,698(期間限定割引・通常 ¥3,148)、月払いは ¥2,833 です。価格に消費税は含まれていません。条件を満たす Microsoft 365 プランのライセンスが別途必要です。
- 入力した内容は学習に使われますか
- Microsoft 365 の Copilot には、公式にエンタープライズ データ保護が含まれると記載されています。個人向けの無料AIとは扱いが異なります。ただし会社の規定は別途確認してください。
- ChatGPT との使い分けはどうすればいいですか
- 社内のファイルやメールを扱う作業は Copilot、一般的な相談や文章作成は ChatGPT、という分け方になります。Copilot の値打ちは、Microsoft 365 の中のデータを扱えることです。
09
まとめ
Microsoft 365 を契約しているなら、Copilot Chat は追加料金なしです。有料で変わるのは、アプリの中でファイルを直接書き換えられるかどうかです。
- 無料でできるCopilot Chat。Webを典拠とするAIチャット、データ保護つき
- 有料で増えるWord・Excel・PowerPoint・Outlook の中で使える。エージェント作成
- 向いていないMicrosoft 365 を使っていない会社、買い切り版のOffice
何から始めるか
まず、業務用アカウントで Copilot Chat を開きます。 追加契約は要りません。
そこで、いま手元にある文書について聞いてみてください。要約でも、書き直しでも構いません。ここまでは無料の範囲です。
次に、「Word の中で直接書き換えたい」と感じたら、そこが有料を検討するタイミングです。マニュアルの一括修正や、Excelの集計を任せたい場合は、アプリ内で使える形が要ります。
なお、Word や Excel にボタンが出てこない場合は、買い切り版のOfficeを使っている可能性があります。その場合は、待っていても出ません。 先に契約内容を確認してください。