「経費精算のやり方、これで合っていますか」
「有給って何日前に申請するんでしたっけ」
社内で同じ質問を何度も受ける、というご相談をいただくことがあります。
答えはマニュアルに書いてあります。ただ、どこに書いてあるかを知っているのは一部の人だけです。だから聞かれます。聞かれた人の作業が止まります。
Gemini Notebook(旧 NotebookLM)は、この状況に向いています。読み込ませた資料だけを読んで答えるためです。一般的なことは答えられません。その制約が、社内で使うときには利点になります。
この記事では、何を読み込ませるか、どう配るか、どこまで無料でできるかを説明します。
01
同じ質問に、毎回答えている
マニュアルはあるのに聞かれる。読む側が「どこに書いてあるか」を知らないためです。
探すより聞くほうが早い
就業規則も経費精算のルールも、たいていの会社にはあります。それでも聞かれるのは、探す時間より聞く時間のほうが短いからです。
聞かれた側は、作業を止めて答えます。答えられる人が休んでいると、質問した側も止まります。
これまでの手は3つだった
- マニュアルを作り直す:作る手間がかかり、作った後も読まれない
- チャットボットを入れる:設定と運用の担当者が要る
- 詳しい人が答え続ける:その人がいないと止まる
4つ目の手
資料をそのまま読み込ませて、質問できる状態にする方法があります。Gemini Notebook はこれにあたります。
法人研修を手がける人は、こう述べています。
社内専用のチャットボットを作りたいと相談されたら、まず NotebookLM で導入できないか検討します
02
Gemini Notebook とは
Googleが提供しているAIツールです。2026年7月に NotebookLM から改称しました。
名前が変わりました
2026年7月16日に、NotebookLM は「Gemini Notebook」という名前に変わりました。公式サイトも notebooklm.google から notebook.google に転送されます。
ただし、いまも多くの記事や動画は「NotebookLM」と呼んでいます。この記事でも検索されている名前に合わせて併記しますが、画面に表示されるのは Gemini Notebook です。中身は同じものです。
使い方は単純です
手元にある資料をアップロードすると、その資料だけを読んで質問に答えます。
公式が挙げている、読み込ませられるものです。
- ウェブサイト
- YouTube 動画
- 音声ファイル
- Google ドキュメント
- Google スライド
Google アカウントがあれば使えます。80以上の言語に対応しています。
画面は3つに分かれている
左 ソース 読み込ませた資料の一覧
中央 チャット 質問して答えを受け取る場所
右 スタジオ 資料を別の形に変換する場所
03
ChatGPTやGeminiと何が違うのか
一般的な知識には答えません。読み込ませた資料にないことは「答えられない」と返ってきます。
答えの元が違う
ChatGPTやGeminiは、学習した知識の中から答えを作ります。何でも聞ける代わりに、事実と違うことを自信を持って答えることがあります。
公式にはこう書かれています。
Gemini Notebook は、アップロードされたソースに含まれる情報に基づいて質問に回答するよう設計されています
| ChatGPT・Gemini | Gemini Notebook | |
|---|---|---|
| 答えの元 | 学習した一般知識 | 読み込ませた資料だけ |
| 一般的な質問 | 答える | 答えない |
| 出典 | 付かないことが多い | どの資料のどこかが出る |
| 社内ルールの質問 | 一般論で答えてしまう | 自社のルールで答える |
「答えられない」ことが利点になる
一見すると不便です。ですが社内で使うなら、これは利点です。
例えば「有給休暇は何日前までに申請すればいいですか」と聞いたとき。ChatGPTは法律や一般的な慣行をもとに答えます。それが自社のルールとは限りません。
就業規則を読み込ませておけば、自社の規定に基づいて答え、しかも「第◯条」と出典が付きます。
答えの根拠を確認できる
答えの中に引用が表示され、押すと元の資料のどこを見たかが分かります。合っているかを自分で確かめられます。
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何を読み込ませるか
この選び方で、使えるかどうかが決まります。
1つのノートブックに、1つのテーマ
手元の資料を全部入れると、うまく答えません。就業規則と営業資料と議事録が混ざったノートブックでは、どれを軸に答えればいいか判断できないためです。
✗ 避ける
社内資料をまとめて全部入れる
✓ こうする
「経費精算」のノートブック、「就業規則」のノートブックと分ける
まず入れるべき資料
同じ質問を何度も受けている資料から始めます。
- 就業規則
- 経費精算のルール
- 業務マニュアル
- 引き継ぎ書
多くの会社で、この4つは該当します。
読み込めないことがある
ウェブサイトを読み込ませようとして失敗する場合、サイト側がブロックしていることがあります。そのときは本文をコピーして、テキストとして貼り付けます。
資料が整っていないと、何も起きない
読み込ませる前に、3つを確認します。
- 最新版か古い版は消す
- どれが正か同じ内容の資料が複数あるなら1つに絞る
- 文字として読めるか画像として貼られた表は読めないことがある
紙をスキャンしただけのPDFは、文字が画像になっている場合があります。この状態では中身を読めません。
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社内でそのまま効く4つ
社内の業務では、次の4つが効きます。学習用途に次ぐ多さです。
① 問い合わせ対応
就業規則や経費精算のルールを読み込ませて、質問できる状態にします。
経費精算の締め切りはいつですか。領収書がない場合はどうすればいいですか。
答えには出典が付きます。押すと、規定のどこに書いてあるかが分かります。
② 引き継ぎ・前任者がいない業務
過去の資料をまとめて読み込ませておくと、経緯を聞けます。
例えば、途中から引き継いだ案件で「この見積もりは、なぜ見送りになったか」と聞くと、理由が書かれた資料を探して答えます。
③ 新人からの質問の一次受け
マニュアルを読み込ませたノートブックを共有します。新人が入ってきたときに、リンクを渡すだけで済みます。
④ 提案書のたたき台
過去の提案書や商品資料を読み込ませて、構成案を作らせます。ゼロから書くより、元になる資料を読ませてから直すほうが早い場合があります。
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リンク1つで配れる
作ったノートブックは、リンクで共有できます。相手側に設定は要りません。
ここが「1人で使う道具」と「社内で使う道具」の分かれ目です。
配る側と受け取る側
作る人が資料を選んで読み込ませ、リンクを渡します。受け取った人は、開いて質問するだけです。
✗ これまで
「経費精算のやり方が分からない」→ 詳しい人に聞く → その人の作業が止まる
✓ 共有したあと
「経費精算のやり方が分からない」→ ノートブックに聞く → 出典つきで返る
例えば経費申請のマニュアルを入れたノートブックを共有しておけば、「これどうやるんでしたっけ」がAIへの質問に変わります。
共有には有料プランが要る場合があります
公式によると、高度な共有は有料ユーザーのみが利用できます。カスタムチャットと分析は、すべてのユーザーが利用できます。
会社で配る使い方を考えている場合、ここは先に確認してください。
07
資料を別の形にする
読み込ませた資料は、スライド・要約・音声などに変換できます。
よく使われている順に並べます。
| 変換先 | 主な使い道 | |
|---|---|---|
| スライド資料 | 社内説明、提案書のたたき台 | |
| 要約 | 長い資料の全体像をつかむ | |
| クイズ・フラッシュカード | 研修の理解度チェック | |
| 音声解説 | 移動中に聞く | |
| マインドマップ | 分厚い資料の構造を見る |
スライド資料を作る
読み込ませた資料をもとに、スライドの形にできます。変換機能のなかで、最もよく使われています。
社内説明用の資料や、提案書のたたき台に使われています。
要約する
複数の資料をまとめて読み込ませ、共通点や要点を抜き出せます。長い資料を読む前に、全体像をつかむ用途です。
クイズ・フラッシュカードを作る
読み込ませた資料から、確認テストを作れます。研修の理解度チェックに使われています。
音声で聞く
資料の内容を、2人の話し手が対談する形式の音声にできます。移動中に聞く使い方をされています。
マインドマップで全体を見る
資料の構造を、枝分かれした図で表示します。分厚い資料の全体像を、読む前につかみたいときに使えます。
このほか、動画解説、インフォグラフィック、データテーブル、レポートの生成もできます。
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無料でどこまでできるか
プランは4段階です。「無料の次はPro」ではありません。
公式に公開されている上限です(2026年8月28日確認)。
| Standard(無料) | Plus | Pro | |
|---|---|---|---|
| ノートブック数 | 100件 | 200件 | 500件 |
| 1ノートブックのソース数 | 50件 | 100件 | 300件 |
| 1日のチャット回数 | 50回 | 200回 | 500回 |
| 1日の音声解説 | 3件 | 6件 | 20件 |
| Deep Research | 月10件 | 1日3件 | 1日20件 |
このほかに Ultra があります。
無料で足りるかの目安
- ソース50件:就業規則、経費精算のルール、業務マニュアル数種類を入れても余ります
- 1日50回:1人が社内の質問を調べる用途なら、使い切ることはほとんどありません
- 音声解説3件/日:毎日3本作る使い方は稀です
まず無料で始めて、上限にぶつかってから考えれば十分です。
有料が必要になる場合
- 複数人で同じアカウントを使い、1日50回を超えるプラン変更を検討
- 1つのノートブックに50件を超える資料を入れたいプラン変更を検討
- 高度な共有を使いたい有料が必要
Plus・Pro は、Google AI プラン、または対象の Google Workspace ライセンスで利用できます。
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答えが返ってこないとき
公式が3つの理由を挙げています。多くは質問の書き方か、資料の入れ方で解決します。
① ソースにない情報を聞いている
読み込ませていないことは答えません。仕様どおりの動きです。必要な資料を追加します。
② 質問が不明確
ノートブックに多くの資料が入っていると、まず関連する部分を探してから答えを作ります。質問が漠然としていると、探せません。
✗ 伝わらない
経費のことを教えて
✓ 伝わる
出張の宿泊費は、上限がいくらまでですか
公式にも「より具体的な質問をすると、関連性の高い情報を探しやすくなります」と書かれています。
③ 安全フラグ
資料の内容に、安全上のフラグが立つ表現が含まれている場合、答えないことがあります。歴史的な文脈でも該当することがあります。
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向いていないこと
社内資料に基づく質問には強い一方、向かない使い方があります。
- 一般的な質問(法律・税率・世の中の動向)ChatGPTやGeminiへ
- Gmail・カレンダー・チャットの中を横断して探すできない
- 重要な判断の根拠にする出典を開いて元の文を読む
- 資料が古い・複数の版がある・文書化されていない先に資料を直す
一般的な質問には答えられない
「消費税の税率は」「労働基準法では」といった質問には答えません。読み込ませていないためです。ChatGPTやGeminiの役割です。
メール・カレンダー・チャットは見られない
読み込ませた資料しか見ません。GmailやSlackの中身を横断して探す道具ではありません。
出典が付いていても、確認は要る
出典が付くので確かめやすくはなりますが、要約の過程で意味が変わることがあります。重要な判断に使う場合は、出典を開いて元の文を読みます。
資料が整っていない会社では、効果が出ない
読み込ませる資料が古い、複数の版が混在している、そもそも文書化されていない。この状態では、AIを入れても答えは正しくなりません。
先に整えるほうが早い場合があります。
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入力した内容は学習に使われるのか
通常の利用では、トレーニングに使われません。ただし評価ボタンを押した場合は別です。
社内資料を読み込ませる以上、ここは確認が必要です。
公式の記載
Gemini Notebook のコンテンツは、ユーザーがフィードバックを送信しない限り、Google の基盤モデルのトレーニングに直接使用されることはありません
Workspace を契約している場合は、さらに強い扱いが明記されています。
Google Workspace または Google Workspace for Education のユーザー。Gemini Notebook でのアップロード、クエリ、モデルの回答は、高評価または低評価のフィードバックを提供した場合でも、人間のレビュアーによる確認は行われず、AI モデルのトレーニングにも使用されません
Geminiアプリとは扱いが違います
| 学習への利用 | 人間による確認 | |
|---|---|---|
| Geminiアプリ(個人・無料) | 使われる場合がある | ある場合がある |
| Gemini Notebook(個人) | 使われない※ | フィードバック送信時のみ |
| Gemini Notebook(Workspace) | 使われない | されない |
※フィードバックを送信した場合を除きます
評価ボタンに注意
答えの下にある「良い/悪い」の評価ボタンを押すと、そのやり取り全体が確認の対象になります。
公式には、フィードバックに含まれる内容は特別な訓練を受けたチームがレビューし、最長3年間保存されると書かれています。レビュー前にGoogleアカウントとの関連付けは解除されますが、公式自身が「フィードバックには機密情報や個人情報を含めないでください」と明記しています。
社内資料を扱っているノートブックでは、この評価ボタンは押さないでください。
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よくある質問
- ChatGPTを使っているのですが、両方必要ですか
- 用途が違うので、両方あって困りません。一般的な相談や文章作成はChatGPT、社内資料に基づく質問は Gemini Notebook、という使い分けになります。
- パソコンが苦手な人でも使えますか
- 資料をアップロードして質問を打つだけなので、操作としては難しくありません。ただし「何を読み込ませるか」を決める人は必要です。
- 読み込ませた資料は、他の人にも見えますか
- 自分のノートブックは、共有しない限り自分だけのものです。共有設定をした相手だけが見られます。
- スマートフォンでも使えますか
- iPhone・Android向けのアプリが提供されています。ただし提供される国や地域は、パソコン版と異なる場合があります。
- 何から読み込ませればいいですか
- 「同じ質問を何度も受けている資料」から始めるのが確実です。就業規則や経費精算のルールは、多くの会社で該当します。
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まとめ
Gemini Notebook は賢いAIではありません。読み込ませた資料しか答えないAIです。その制約が、社内で使うときには利点になります。
社内で使うなら、押さえるのは3つです。
- 何を読み込ませるか1テーマ1ノートブック
- どう配るかリンクで共有。高度な共有は有料
- どこまで無料かソース50件・1日50回で、たいてい足りる
何から始めるか
まず、同じ質問を何度も受けている資料を1つ選びます。就業規則でも、経費精算のルールでも構いません。
その1つだけを読み込ませたノートブックを作り、実際に来る質問を打ってみます。答えが返り、出典が正しい場所を指していれば、その資料は使える状態にあります。
答えが返らない場合、原因は資料の側にあることが多くあります。古い版が混ざっている、画像として貼られていて文字が読めない、そもそも書かれていない。そのときは、AIではなく資料を先に直します。
うまくいったら、リンクを共有して、聞かれる側の作業が止まらない状態にします。