生成AIで作った画像や文章を、自社サイト、SNS、提案資料、納品物に使いたい。そんなときに最初に考えがちな問いは、AIで作ったものなら自由に使えるのか、というものです。

先に結論です。AIを使ったかどうかだけで、公開・納品の可否を一律に決めることはできません。生成AIで出力する段階と、その出力をインターネットで公開したり、相手へ納品したりする段階を分け、外へ出す前に次の4項目を確認します。

  1. 元素材の作成者・利用許諾・契約範囲
  2. 利用するAIサービスの提供者情報・現在の利用規約
  3. 生成物と既存作品の類似性
  4. プロンプトなど生成過程と確認結果の記録

これは文化庁の公式資料を、初心者が1件の公開前判断に使えるように組み立てた編集提案です。公的な申請様式、法的な判定表、著作権侵害がないことや公開できることの保証ではありません。

まず、生成と公開・納品を分けて考える

文化庁の資料は、生成物を作ることと、その後にインターネットで送信したり譲渡したりすることを、同じ一つの判断として扱っていません。生成時に確認したことがあっても、公開・納品という利用の段階で別の確認が必要になる場合があります。

段階 確認すること この原稿で残すもの
生成 何を入力し、どのサービス・モデルで、どのような指示をしたか 元素材、サービス・モデル、プロンプト等
利用 会社サイト、SNS、提案資料、納品など、どこへ誰に渡すか 用途、確認日、確認者、未解決点
判断 確認できた範囲で次の社内承認へ進めるか、保留するか 判断と保留理由

文化庁の資料が述べているのは、すべてのAI生成物が侵害になるということでも、すべての公開に許諾が必要ということでもありません。個別の作品、入力素材、利用方法、契約などによって確認すべき点が変わるため、会社の公開作業では判断の入口を分けておく、というのがここでの実務上の意味です。

公開前に見る4項目

1. 元素材:誰が作ったものを、どの範囲で使うのか

画像や文章をAIへ入力したなら、まずその素材の出所を確認します。自社で作ったものか、第三者が作ったものか。第三者のものなら、公開・納品の用途まで許されているか。契約や利用許諾の範囲を説明できるかを見ます。

確認欄は次の5つです。

  • 作成者または入手先
  • 元素材のURL、ファイル名、管理番号などの参照元
  • 利用許諾やライセンスの有無
  • 契約で許されている用途、公開先、納品先
  • 確認日と確認者

文化庁のチェックリスト&ガイダンスは、既存の著作物を入力して似た出力を生成する場合など、状況によって許諾が必要になり得る論点を示しています。ここでの確認表は、個別作品の結論を出すためのものではなく、確認すべき素材を見落とさないための入口です。

作成者、許諾、契約範囲のどれかが分からない場合は、その素材を使った候補を外部へ出しません。自社作成、または利用条件を確認できる非機密の素材へ戻し、社内の権利確認担当や必要に応じて専門家へ相談します。

2. AIサービスの規約:今使うサービスの条件を確認する

次に、使うAIサービスを決めた時点で、そのサービスの提供者情報、学習済みモデルに関する情報、現在の利用規約やその他のルールを確認します。

ここで確認する項目は、サービスごとに次のように分けて記録します。

  • サービス名と提供者
  • 利用するモデルやプラン
  • 利用規約・ルールのURL
  • 確認日
  • 入力素材、出力、公開・納品に関係する記載
  • 社内ルールとの不一致や未確認点

この記事では、特定のサービス名を挙げません。E1・E2は特定サービスの現在の規約、安全性、商用利用可否、保存・学習の扱いを判定する資料ではないからです。

したがって、一般にAIなら商用利用できる、という理解で進めません。規約が見つからない、対象プランが分からない、入力素材や出力の扱いを社内で説明できない、という場合は、候補を保留して確認へ戻します。

3. 類似性:既存作品と似ていないかを利用前に見る

公開・納品の前に、生成物が既存作品と似ていないかを確認します。文化庁資料は、著作権に関する論点として類似性と依拠性を説明し、生成物の利用前に既存作品との類似性を確認することを案内しています。文字なら検索、画像なら画像検索などを最初の確認手段にできます。

ただし、検索を1回行ったから公開できる、という意味ではありません。資料は万能な類似性の基準や自動判定結果を示しておらず、個別の事情によって判断が変わります。第三者の作品、キャラクター、固有名詞を模倣させる前提の企画も、この4項目だけで進めないでください。

最低限、次をメモします。

  • 比較した生成物のファイル名または版
  • 比較した既存作品や検索語
  • 確認方法と確認日
  • 気になった類似点
  • 確認者と未解決点

似ているかどうかを説明できない、検索結果を見ても判断できない、第三者の権利や契約が絡む、という場合は、公開・納品・外部送信を止めます。別案を作ることはできますが、別案を作っただけで適法性や公開可否が保証されるわけではありません。

4. 記録:後から確認できる状態にする

最後に、生成の経緯と確認結果を、後から追える状態にします。文化庁のチェックリスト&ガイダンスは、プロンプトなど生成過程の情報を確認できる状態にしておくことを、リスク低減や説明のための望ましい実務として示しています。

最初の1件なら、次の記録で十分に始められます。

  • 対象物と公開・納品の用途
  • 元素材の参照元と利用条件
  • サービス名、モデル、プラン、規約URL、確認日
  • 使用したプロンプト等の保存先、生成日、出力の版
  • 類似性を確認した方法、確認日、結果
  • 確認者、社内の権利確認先、未解決点
  • 次の判断と、その理由

この記録は、法的な安全証明書ではありません。公的に決められた保存期間や必須の入力様式でもありません。個人情報や未公開機密を、確認のために別の場所へ転記しないことも社内ルールで確認してください。後から説明する必要がある情報を、確認可能な形で残すという編集上の提案です。

1件で試す公開前手順

専任AIチームやAPI連携を前提にせず、まず低リスクな候補1件で、次の順番を試します。

  1. 自社作成、または利用条件を確認できる非機密の画像・文章を1件選ぶ。顧客情報、個人情報、未公開機密、第三者の無許諾素材は使わない。
  2. 生成前に、用途、元素材の作成者、許諾・契約範囲、参照元を記録する。
  3. 利用するAIサービスとモデルを決め、現在の利用規約やルール、対象プランの情報を確認する。
  4. 生成後に、プロンプト等の生成過程、生成日、出力の版を記録する。
  5. 既存作品との類似性を確認し、方法、日付、確認者、気になった点を残す。
  6. 4項目に未確認点があれば、公開・納品・外部送信を止める。社内の権利確認担当または専門家へ戻す。
  7. 未確認点がない場合も、確認できた範囲を記録して社内の通常承認へ回す。この記事の4項目だけで公開可否を確定しない。

迷ったときの分岐

状態 次の行動
元素材、規約、類似性、記録を確認でき、社内の範囲も明確 確認日・確認者・参照元を残し、社内の通常承認へ
1項目でも確認できない 公開・納品・外部送信を保留し、確認担当へ戻す
類似性、契約、商標、肖像などの判断が絡む 4項目で結論を出さず、権利確認担当または専門家へ
実在の顧客情報や未公開機密を入力している 本稿の手順を続けず、社内の情報管理ルールへ切り替える

仮想例:提案資料の表紙候補を1件だけ確認する

これは実在企業や実際の生成物の事例ではありません。

ある中小企業の営業担当が、自社で作成した非機密の製品説明文と、自社で作った抽象的な背景パターンを使い、提案資料の表紙候補を生成したとします。

  • 元素材:自社作成であること、利用目的が提案資料の表紙であることを記録する。
  • AIサービスの規約:サービス名、モデル、対象プラン、現在の規約URLと確認日を記録する。規約に不明点があれば候補を止める。
  • 類似性:出力の版を固定し、文字・画像の検索などで既存作品との類似点を確認する。既知のキャラクターや第三者作品に近い場合は外へ出さない。
  • 記録:プロンプト等の保存先、生成日、比較方法、確認者、未解決点を残す。

この仮想例でも、4項目を埋めたことが公開許可を意味するわけではありません。確認できた範囲を説明できる状態にし、必要な社内承認へ戻すところまでが手順です。

そのまま使える公開前メモ

項目 記入欄
対象物・用途 画像/文章、公開先・納品先、使用目的
元素材 作成者、参照元、許諾・ライセンス、契約範囲、確認日
AIサービス 提供者、サービス名、モデル・プラン、規約URL、確認日
類似性 比較対象、検索語・方法、結果、気になった点、確認日
生成過程 プロンプト等の保存先、生成日、出力版、再生成の有無
確認 確認者、社内の権利確認先、未解決点
判断 通常承認へ回す/保留/権利確認へ戻す。その理由

判断欄に、公開可、商用利用可とだけ書いて終わりにしないでください。何を、いつ、誰が、どの資料を見て確認したかを残すと、後から判断をやり直せます。

根拠、編集提案、施策仮説を分ける

文化庁資料から直接言えること

  • 生成物を作ることと、インターネット配信・譲渡などで利用することは、分けて考える論点がある。
  • 著作権に関する類似性・依拠性は、既存作品との関係や個別事情を踏まえて考える。
  • 利用する生成AIについて、モデル情報やサービスの利用規約・ルールを確認することが案内されている。
  • プロンプトなど生成過程を確認できる状態にすることが、リスク低減や説明のために望ましいとされている。

一方、資料は著作権を中心にした非拘束的な考え方・ガイダンスです。特定のサービス、作品、契約、商標、肖像、パブリシティ、営業秘密、広告規制の判断を行うものではありません。

この記事の編集提案

元素材、規約、類似性、記録の4項目と、不明時に保留して確認へ戻す分岐は、上の論点をAI導入初期の中小企業の公開前作業へ接続するための提案です。公的なチェックリストを再現したものでも、4項目だけで全ての権利を確認できるという意味でもありません。

MASTER key側の考え方と施策仮説

MASTER key株式会社とAX事業部の発信としては、AIを使うかどうかだけでなく、出力を次の業務へ渡す前に、確認、記録、保留、社内承認の流れを小さく設計することを、業務変革・AXの入口として扱います。これは本稿の考え方であり、MASTER key株式会社やAX事業部の認知、問い合わせ、顧客成果を示す実績ではありません。

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まとめ

生成AIで作った画像や文章を会社で使うときは、AIを使ったという一点で自由に使える、または一律に使えないと決めません。

公開・納品前に、次の4項目を確認します。

  1. 元素材の作成者・利用許諾・契約範囲
  2. AIサービスの提供者情報・現在の利用規約
  3. 生成物と既存作品の類似性
  4. プロンプト等の生成過程と確認結果の記録

不明点が残るなら、公開・納品・外部送信を止め、社内の権利確認担当や必要に応じて専門家へ戻します。4項目を埋めても、個別作品の適法性、商用利用可否、公開許可が保証されるわけではありません。確認できた範囲と未解決点を記録し、次の判断に戻せる状態を作ることから始めてください。

参照元