社内FAQやマニュアルを検索して回答案を作る業務に、生成AIを使いたい。けれども、社内データを扱うサービスは、料金だけで決められません。

結論から言うと、NTT東日本はミンクスプラス生成AIを、自社データを使うRAGと参照元ハイライト表示ができる法人向けサービスとして説明しています。一方、現行ページの料金表示は初期110,000円(税込)、月額154,000円(税込)からです。現行FAQと利用規約には、最低20ID、最低利用期間3か月、インターネット回線と固定グローバルIPの準備が示されています。

したがって、最初に判断するのはRAGの説明を読んで試すことではありません。次の二つです。

  • 自社が20ID・3か月・回線・固定グローバルIPの条件に合うか
  • 公開または匿名化した資料1件を、人が参照元と適用範囲まで確認できるか

どちらかが未確認なら、社内の機密情報を先に投入しないことが今回の判断です。

公式情報から確認できる条件

以下は、2026年8月18日に確認されたE1・E2の範囲です。製品の利用結果や性能評価ではありません。

確認点 公式資料から読めること 判断時の注意
サービスの位置づけ NTT東日本は、社内の独自データを活用するAIチャットボットとして説明している ベンダー説明であり、回答精度や導入成果の証拠ではない(E1)
RAGと参照元 RAGで独自情報を検索・参照し、参照元をハイライト表示できると説明している 参照元が表示されても、回答全体の正しさ、最新性、適用範囲は人が確認する(E1)
料金表示 初期110,000円(税込)、月額154,000円(税込)から。月額はID数・オプションで変動する 固定見積、総額、オプション込み価格ではない。問い合わせ時に見積条件を確認する(E1)
最低条件 最低利用期間3か月、最低利用数20IDと記載されている 20名未満や短期PoCの例外、途中解約時の金額は個別条件を確認する(E1・E2)
ネットワーク インターネット回線と固定グローバルIPアドレスの準備が必要とされている 自社ネットワークでの実現可否や追加接続条件は別途確認する(E1・E2)
PoC 本格導入前の有料PoCが可能と説明されている 期間、価格、ID数、データ量、評価方法、支援範囲、成果基準は確定していない(E1)
管理機能 権限、個人情報ブロック、禁止ワード、回答評価・集計、IP制限、利用状況の可視化などが機能として掲載されている 掲載機能の存在は、設定の妥当性や検知漏れ、法令適合を保証しない(E1)
データ条件 製品ページは国内リージョンでの保存と、対話内容・業務データをAI学習に利用しないことを説明している NTT東日本の製品ページ上の説明であり、契約・規約・プライバシー確認の代わりにはならない(E1)
規約上の境界 利用者のデータ責任が定められ、生成AIの出力内容の正確性等は保証されない 規約のログ削除を、アップロード文書やバックアップの一律削除と読み替えない(E2)

現行ページのお知らせ欄には、2026年5月14日付でファイル出力・マルチメディア対応等の新機能提供開始も掲載されています。ただし、全プラン・全契約での提供範囲や実機品質を示すものではありません。また、FAQ上の画像・動画などの生成はテキストのみとされているため、マルチメディア対応を画像・動画生成と同一視しないでください(E1)。

問い合わせ前に行う5つの確認

1. 最初の業務を1件に限定する

いきなり社内文書全体を登録しません。まず、公開または匿名化したFAQ・マニュアル1件を対象にします。

仮想例として、公開済みの休業日FAQ1件を用意し、質問を一つだけ設定します。確認するのは、回答案そのものではなく、参照元、適用範囲、更新日、例外、人の確認者です。顧客への自動返信や外部送信は、この最初の対象に含めません。

2. 料金・人数・期間を先に照合する

問い合わせ前に、次の欄を埋めます。

  • 初期110,000円(税込)、月額154,000円(税込)からという表示が、自社の検討予算に入るか
  • 月額がID数・オプションで変わることを踏まえ、何が見積に含まれるか
  • 最低20IDを実際に使う部署・役割があるか
  • 最低3か月の利用期間を受け入れられるか
  • PoCが本契約と異なる条件になるか、途中解約時の扱いは何か

20名未満でしか使えない、または3か月の条件を確認できない場合は、RAGの使い方を考える前に保留します。

3. 回線と固定グローバルIPを確認する

固定グローバルIPは、機能一覧の確認だけでは済みません。自社のネットワーク担当者に、次を確認します。

  • 固定グローバルIPを準備できるか
  • インターネット回線の契約者、費用、変更時の手続きは何か
  • IP制限や追加接続条件をどう設定するか
  • 利用開始後にネットワーク変更が起きた場合、誰がサービス側と確認するか

専任情シスがいない会社では、ここを担当する人が決まらないまま問い合わせを進めないことが重要です。

4. データ条件を契約・規約まで確認する

NTT東日本の製品ページには、国内リージョンでの保存と学習データ非利用の説明があります。これは確認の出発点です。しかし、法令遵守や機密保持を自動的に保証する記述として扱ってはいけません。

利用規約は、契約者がデータのセキュリティ対策や権利・個人情報への配慮を行うことを求めています。また、出力の正確性も保証していません。アップロード文書、対話内容、ログ、バックアップ、委託先の保持・削除条件が自社の判断に必要なら、現行の契約、プライバシー関連資料、データ処理条件を個別に確認します。

確認できない項目が残る場合は、未確認のまま「安全」と判定しません。公開・匿名化サンプル以外を投入しないまま止めます。

5. 参照元を確認する人を決める

参照元ハイライトは、回答を正しいと判定する機能ではありません。確認すべき場所を示すものとして使います。

担当者は、少なくとも次を照合します。

  • 根拠文書の該当箇所
  • その文書が適用される部署・期間・対象者
  • 更新日と旧版との差分
  • 例外や但し書き
  • 質問者がその文書を閲覧してよいか
  • 回答案を誰まで共有してよいか

法務、人事、金融、採用、顧客への最終回答は、AIの出力で完結させません。確認者がいない場合は、PoCの対象から外します。

小さく試すための確認テンプレート

ここからはMASTER key側の編集提案です。NTT東日本の製品仕様や契約条件ではありません。

対象業務:社内FAQ・マニュアルから回答案を作る業務 1件
入力資料:公開または匿名化したFAQ・マニュアル 1件
質問:資料の内容を確認できる具体的な質問 1つ
確認項目:参照元/適用範囲/更新日/例外/権限
利用する管理機能:権限、禁止ワード、回答評価、レポート等の確認対象
確認者:根拠文書を読める業務担当者 1名以上
共有範囲:PoC参加者に限定。外部送信・顧客回答はしない
停止条件:根拠不明、適用範囲不明、権限不明、機密情報混入、確認者不在
判定:問い合わせ継続/有料PoCの条件確認/今回は保留

このテンプレートの目的は、回答数を増やすことではありません。どの文書を根拠に、誰が、どの範囲で、次の判断をするかを残すことです。

問い合わせ時に聞く質問

料金だけを尋ねると、導入後に条件が増えます。次の順で確認します。

  1. 初期110,000円、月額154,000円からという表示は、どのID数・オプション・期間を前提にしているか。
  2. 最低20ID・最低3か月はPoCにも適用されるか。PoC専用条件や途中解約時の扱いはどうなるか。
  3. 固定グローバルIP、インターネット回線、IP制限に必要な追加条件や費用はあるか。
  4. FAQやマニュアルの形式、更新反映、容量、権限継承、文字化けやOCRの扱いはどうか。
  5. 国内リージョン、学習データ非利用、ログ、アップロード文書、バックアップ、削除・保持条件をどの資料で確認できるか。
  6. 有料PoCの期間、価格、ID数、データ量、評価項目、支援範囲、成果基準は何か。

これらに回答が得られない場合、機密データを投入する理由にはなりません。

今回は使わない条件

次のどれかに当てはまるなら、ミンクスプラス生成AIを使う判断を急がないでください。

  • 20IDを実際に割り当てる部署や役割がない
  • 最低3か月の利用条件を受け入れられない
  • インターネット回線や固定グローバルIPを準備できない
  • 見積、契約、データ保持・削除条件の未確認事項が残っている
  • 公開または匿名化したサンプルではなく、顧客情報、従業員情報、個人情報、未公開契約、認証情報を先に投入したい
  • 根拠文書と回答案を確認する人が決まっていない
  • 法務、人事、金融、採用、顧客向けの最終回答や外部送信を自動化したい

使わない条件を先に決めると、製品の機能を使うこと自体が目的になりません。

まとめ:進む条件と止める条件を分ける

ミンクスプラス生成AIは、NTT東日本の現行説明上、自社データをRAGで参照し、参照元を確認できる候補です。ただし、料金は表示上の目安であり、最低20ID・3か月、回線・固定グローバルIP、契約・データ条件が先にあります。参照元表示も、回答の正しさを保証するものではありません。

問い合わせ・有料PoCへ進むのは、次の条件をそろえられる場合です。

  • 20ID・3か月・回線・固定グローバルIPの条件を確認できる
  • 見積と契約・データ条件の未確認事項を洗い出せる
  • 公開または匿名化サンプル1件に限定できる
  • 根拠、適用範囲、例外、権限、確認者を照合できる

条件がそろわない場合の次の一歩は、別の文書を追加することではありません。未確認項目を質問票に残し、機密情報を投入せずに保留することです。

参照元

本稿の製品仕様、料金、利用条件、契約上の境界は、以下の公式資料を2026年8月18日に確認しました。