「領収書を、いまも1枚ずつ手で入力している」
「確定申告の前に、まとめて整理して打ち込んでいる」
経理の作業について、こうしたご相談をいただくことがあります。
領収書や請求書の入力は、20年ほどやり方が変わっていない作業です。スキャンサービスを使っても、スキャンして送って確認して取り込む、という手順は残ります。
この入力を、撮って読ませるだけに置き換えられます。
この記事では、撮り方、AIへの頼み方、会計ソフトへの取り込み方を順に説明します。あわせて、読み取れないものと、必ず確認すべき場所も書きます。
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まだ手で入力している
領収書の入力は、20年やり方が変わっていません。ここがそのまま残っている会社が多くあります。
いまの状態
- 月末に領収書を集めて、1枚ずつExcelに打ち込む
- 確定申告の直前に、まとめて整理する
- スキャンサービスに出しても、確認と取り込みは自分でやる
打ち間違いも起きます。桁を1つ間違えれば、後で合わなくなります。
何が変わるか
✗ これまで
領収書を1枚ずつ見て、日付・金額・取引先を手で打つ
✓ これから
まとめて撮る → AIが表にする → 会計ソフトに取り込む
入力そのものが無くなります。 残るのは確認だけです。
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やり方は3ステップ
撮る、読ませる、取り込む。この3つです。
- 【1】撮る領収書・通帳を写真か動画で
- 【2】読ませるAIに渡して表の形にする
- 【3】取り込むExcel/CSVにして会計ソフトへ
用意するものは2つだけです。
- カメラの付いたスマートフォン
- AI(Gemini など。Googleアカウントがあれば使えます)
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【1】領収書を撮る
枚数が少なければ写真、多ければ動画。ただし動画には時間の制限があります。
写真で撮る場合
1枚ずつ撮ります。枚数が少ないうちは、これが確実です。
同じプロンプトに添付できるのは最大10ファイルと公式に記載されています。10枚を超える場合は、分けて渡します。
動画で撮る場合
領収書をめくりながら撮影します。枚数が多いときはこちらが早く済みます。
ここに制限があります。 Google の公式ヘルプにはこう書かれています。
動画の長さは合計 5 分までです。Google AI Pro または Google AI Ultra にアップグレードすると、合計 1 時間までの動画をアップロードできます
- 無料プラン動画は合計5分まで
- Google AI Pro / Ultra合計1時間まで
枚数が多い会社では、5分では収まりません。 ここが有料を検討する分かれ目になります。
サイズの上限は、動画が1ファイル2GB、その他の形式が100MBです。
撮るときの決まりごと
- 現金払いとクレジットカード払いを分けて撮る(経費の計上が変わるため)
- スマートフォンのスタンドを使うと、めくりながら撮りやすくなります
- 最初は数枚で試して、うまくいってから枚数を増やします
通帳も同じ方法で読めます
通帳を見開きでめくりながら撮影すると、日付・摘要・金額・残高まで表にできます。
インターネットバンキングを使っていない口座では、この方法が有効です。データで出力できないためです。
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【2】AIに読ませる
何を取り出すかを列挙します。書かないと、項目が抜けます。
頼み方
この動画に写っている領収書から、次の項目を取り出してください。 支払日/支払先/取引内容/金額/インボイス番号 ・表の形にまとめてください ・読み取れない項目は「不明」と書いてください ・金額は数字だけにしてください
「読み取れない項目は不明と書く」を入れます。書かないと、AIが推測で埋めることがあります。
勘定科目も付けられる
会計ソフトによっては勘定科目の列が要ります。続けて頼めます。
この表に、勘定科目の列を追加してください。 判断に迷うものは「要確認」としてください。
勘定科目の判断は、最終的に人が決めます。 ここは後述します。
毎月使うなら、登録しておく
同じ指示を毎月打ち直す必要はありません。Gemini の「Gem」に登録しておけば、次からは動画を投げるだけになります。
取引先ごと、現金と通帳ごとに Gem を分けて使う方法もあります。
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【3】会計ソフトに取り込む
表ができたら、CSVかExcelにして取り込みます。符号の向きに注意します。
手順
出てきた表をスプレッドシートに読み込む
CSV または Excel 形式で書き出す
会計ソフトのインポート機能から取り込む
弥生会計なら「ファイル」→「スマート取引取込」→「CSVファイル取込」。freee なら「取引入力」→「Excelインポート」から進みます。
★符号の向きで結果が変わります
実演した動画で、実際に起きていた失敗です。
✗ 金額をプラスで取り込む
売上高として登録されてしまう
✓ 支出はマイナスで取り込む
旅費交通費・消耗品費などに正しく入る
取り込む前に、支出がマイナスになっているかを確認します。
取り込んだ後
勘定科目が「未定」のまま入るものがあります。そこだけ後から直します。全部を打ち直すのではなく、決まらなかったものだけを見ます。
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読み取れないもの
精度は上がっていますが、読めないものは残ります。
- 手書きの文字崩れていると誤読が増える
- かすれた感熱紙レシートが薄くなっているもの
- 汚れたコピー誤認識が増える
- 大きく傾いた撮影まっすぐ撮り直す
以前は「決まった位置に決まった項目がある」前提で読み取る仕組みが主流で、取引先ごとに設定が必要でした。いまは前後の文脈から判断できるため、フォーマットが違っても読めます。 手書きも以前より読めるようになっています。
ただし、読めないものが無くなったわけではありません。 感熱紙のレシートは、時間が経つと文字が薄くなります。撮る前に確認してください。
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どこを確認するか
全部を見直す必要はありません。3つだけ必ず見ます。
必ず見る3つ
- 金額1桁違うと影響が大きい
- 日付期をまたぐと計上先が変わる
- 取引先同じ会社が別に集計される
見なくてよいもの
取引内容やインボイス番号は、後から直せます。まず上の3つだけ見てください。
件数が多いときの確認
全件を目で見るのが難しい場合、合計金額で突き合わせます。
領収書の束の合計と、表の合計が一致するか。ここが合っていれば、金額の読み落としと重複がないと分かります。
この表の金額を合計してください。
合わない場合は、読み落としか二重読み取りが起きています。 元の動画と照らして探します。
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向いていないケース
枚数が少なければ、手で打ったほうが早いこともあります。
- 月に10枚程度手で打つほうが早い
- 毎回フォーマットが違う手書き伝票読み取りの確認に時間がかかる
- 金額の正確さが決定的な場面全件を目で見る前提にする
- 会計ソフトを使っていない先にソフトを決める
枚数で判断する
準備と確認の手間があるため、枚数が少ないうちは効果が出ません。 月に数十枚以上を扱っているなら、検討する価値があります。
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税務の判断は、AIに任せない
ここは必ず読んでください。この記事は入力作業についてのものです。
AIが決めてよいこと・いけないこと
- 書いてある文字を読み取る任せてよい
- 表の形に整える任せてよい
- 勘定科目をどう判断するか人が決める
- 税務上どう扱うか顧問税理士に確認する
- 帳簿の保存要件を満たすか個別に確認が必要
勘定科目の付与は、AIに「案」を出させるところまでです。 どの科目にするかは、事業の内容や過去の処理との一貫性で決まります。
電子帳簿保存法について
領収書や請求書の保存方法には、電子帳簿保存法の定めがあります。この記事では扱いません。 要件は事業者ごとに判断が分かれるためです。
国税庁が「電子帳簿等保存制度特設サイト」で制度・Q&A・パンフレットを公開しています。そちらと、顧問税理士に確認してください。
「AIで読み取ったから保存要件を満たす」ということにはなりません。
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入れてはいけない情報
領収書には、取引先の情報が載っています。
領収書や請求書には、取引先の会社名・住所・口座情報が書かれています。通帳を撮る場合は、口座番号も含まれます。
- 会社のアカウントを使う個人アカウントは個人向け規約
- 学習に使われない設定にするまたは法人プランを使う
- 渡す範囲を絞る必要な期間の分だけ
Google Workspace を契約している場合、公式に「企業のデータがモデルのトレーニングに使用されることはありません」と記載されています。会社で使うなら、会社のアカウントを使ってください。
個人アカウントの場合は、設定で「Gemini アプリ アクティビティ」をオフにします。ただしオフにすると、Googleドライブなどとの連携が使えなくなります。
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よくある質問
- 無料でできますか
- 写真で読ませる分には無料で試せます。ただし動画は、無料プランでは合計5分までと公式に記載されています。枚数が多い場合は Google AI Pro などの検討が必要になります。
- 手書きの領収書も読めますか
- 以前より読めるようになっていますが、崩れた字やかすれたものは誤読が増えます。読み取り後に金額・日付・取引先を確認してください。
- どの会計ソフトでも取り込めますか
- CSVやExcelのインポート機能があるソフトなら取り込めます。弥生会計は「スマート取引取込」、freee は「Excelインポート」から進みます。列の対応づけは、初回だけ設定が必要です。
- 勘定科目もAIに決めさせていいですか
- 案を出させるところまでにしてください。どの科目にするかは、事業の内容や過去の処理との一貫性で決まります。最終的な判断は顧問税理士に確認してください。
- これで電子帳簿保存法の要件を満たしますか
- この記事では扱っていません。要件は事業者ごとに判断が分かれます。国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」と、顧問税理士に確認してください。
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まとめ
領収書の入力は、撮って読ませて取り込む3ステップに置き換えられます。確認するのは金額・日付・取引先の3つだけです。
- 【1】撮る現金とカードを分ける。動画は無料だと5分まで
- 【2】読ませる取り出す項目を列挙する。不明は不明と書かせる
- 【3】取り込む支出はマイナス。符号の向きを確認する
- 確認金額・日付・取引先。件数が多いときは合計で突合
- 任せない勘定科目の判断、税務上の扱い、保存要件
何から始めるか
まず、手元にある領収書を5枚だけ撮ってみてください。写真で構いません。
それをAIに渡して、支払日・支払先・金額を取り出させます。返ってきた表と、手元の5枚を見比べてください。合っていれば、この方法は使えます。
合わない場合、原因はたいてい撮り方です。傾き、かすれ、影。撮り直せば読めるようになります。
うまくいったら枚数を増やします。動画に切り替えるのは、写真で手間だと感じてからで構いません。
そして、最終的な判断は顧問税理士に確認してください。 この記事で書いたのは、入力作業を減らす方法までです。