Projectを業務単位で分けたいとき、確認すべきなのはproject-only memoryへ切り替えられるかだけではありません。既存Projectが未共有か、Memory設定が表示される条件を満たすか、共有後に誰がProject内のChatを見て操作でき、Fileを見てダウンロードできるかを、別々に確認します。
公式資料上、条件を満たす未共有の既存Projectでは、Project settingsのMemoryからDefault memoryまたはProject-only memoryを選択できます。変更の反映には数時間かかる場合があります。shared projectは自動的にproject-only memoryとなり、Default memoryへ切り替えられません。[E1][E2]
ただし、project-only memoryは共有範囲を狭める権限設定と同じではありません。Project外の会話や保存済みMemoryを参照しないという文脈上の境界と、共有メンバーがProject内で扱えるChat・File、共有リンクで新しい人が参加できる範囲は、別の確認項目です。
本稿は2026年8月24日(JST)に確認したOpenAI公式資料に基づきます。日本語UI、個別アカウント、地域、Workspace設定、実機での反映、回答品質、法令適合、業務成果は確認していません。
先に結論:未共有の既存Projectは切替対象、shared projectはproject-onlyのまま
OpenAIのHelp CenterとRelease Notesから、次の4点を確認できます。
- 条件を満たす未共有の既存Projectは、Project settingsからMemory設定を変更できる。
- shared projectはproject-only memoryが自動的に有効になり、Default memoryへ切り替えられない。
- project-only memoryでは、保存済みMemoryやProject外の会話をProject内のChatで参照せず、同じProject内の別会話は参照し得る。Project外のChatからProject内の会話を参照することもできない。
- 共有リンクはproject-only memoryとは別の設定である。「Anyone with a link」を選ぶと、リンクを持つログイン済みChatGPTユーザーが参加できると公式資料は説明している。[E1][E2]
ここでの「参照しない」は、公式資料が説明する文脈の範囲です。情報漏えいゼロ、完全な情報分離、回答の正確性、法令適合を意味しません。[E1][E2]
Default memory・project-only memory・shared projectの違い
| 状態 | 公式資料上の扱い | 判断時の注意 |
|---|---|---|
| 未共有の既存Project | 条件を満たせば、Project settingsのMemoryからDefault memoryまたはProject-only memoryを選べる。 | すべてのアカウントで表示・保存できるとは、この資料から断定しない。 |
| project-only memory | 保存済みMemory、通常Chat、別ProjectなどProject外の会話をProject内で参照しない。同じProject内の別会話は参照し得る。 | 常に全会話を参照する、または完全に分離されるとは読まない。ChatGPT Workは利用できない。 |
| shared project | 自動的にproject-only memoryになり、Default memoryへ戻せない。 | Memory設定とは別に、共有リンク、メンバーのchat/edit権限、Chatの閲覧・操作範囲とFileの閲覧・ダウンロード範囲を確認する。 |
この表からの判断は、次の順番に分けると迷いにくくなります。
- まだ共有していない既存Projectなら、Memoryの選択肢が表示されるかを見る。
- すでにshared projectなら、Default memoryへ戻せるかではなく、誰が何を見て、編集し、ダウンロードできるかを確認する。
- 共有リンクを使うなら、リンクを持つ人が参加できる設定なのか、招待された人だけなのかを確認する。
- project-only memoryを選んだとしても、共有したChatやFileがメンバーから隠れるとは考えない。
既存Projectを切り替える手順
以下は、公式資料に記載された操作経路を、業務担当者が確認しやすい順番に並べたものです。実際の画面表記はアカウントやUIの状態で確認してください。
- まだ共有していない対象Projectを開く。
- Project名付近の三点メニューから、Project settingsを開く。
- MemoryでDefault memoryまたはProject-only memoryを選ぶ。
- 保存する。
- 現在値、選択した値、変更日時、Projectが未共有であることを記録する。
変更直後に画面が変わったとしても、それだけで切替完了とは判断しません。公式資料では、反映に数時間かかる場合があると説明されています。保存時刻と、あとで確認した時刻を分けて記録します。[E1][E2]
また、shared projectをあとでDefault memoryに戻せばよいと考えて運用を始めないことが重要です。公式資料上、shared projectはproject-only memoryのままで、Default memoryへ戻せません。共有する前に、共有メンバーとFileの扱いを決めます。[E1][E2]
Memoryが表示されないときの確認表
Memoryの選択肢がないとき、この機能は使えないと即断するのも、保存すれば使えると推測するのも避けます。公式資料に書かれた設定条件を確認し、個別の利用可否は管理者・契約担当へ戻します。
| 確認先 | 公式資料に記載された条件 | 不明な場合の扱い |
|---|---|---|
| Enterpriseの個人設定 | Reference saved memoriesが有効か確認する。 | アカウント所有者または管理者に確認する。 |
| Workspace設定 | Workspace側でMemoryが有効か確認する。 | 管理者に、WorkspaceのMemory設定とProject機能の制御を確認する。 |
| その他のSubscriptionの個人設定 | Reference saved memoriesとReference chat historyが有効か確認する。 | プラン・アカウント条件を推測せず、契約担当へ確認する。 |
| 個別の画面表示 | 公式資料の条件を満たしているかと、実際に選択肢が出るかは別の事実。 | 日本語UI、地域、段階展開、管理者制御を未確認のまま、実データを入れない。 |
Business・EnterpriseなどのWorkspaceで表示されない場合は、個人側とWorkspace側を切り分けます。個人設定が有効でも、特定Workspaceでの表示や管理者ポリシーまで確認できたことにはなりません。[E1]
shared projectでは、Memoryとアクセス権、共有リンクを分けて確認する
shared projectについて、確認項目を一つにまとめると判断を誤りやすくなります。最低でも次の3層に分けます。
1. 文脈の範囲
shared projectはproject-only memoryになり、メンバーのProject外のContext、Custom instructions、MemoryへアクセスしないとHelp Centerは説明しています。これはProject外の文脈をどう扱うかという仕様です。[E1]
2. Project内のアクセス範囲
共有メンバーの権限はchatまたはeditで分かれます。chat権限ではProjectのChat、File、instructionsを見て操作でき、edit権限ではinstructionsの更新、Fileの追加・削除、メンバー招待もできます。共有Projectの全メンバーはProject内のChatとFileを閲覧でき、Fileをダウンロードできます。したがって、project-only memoryに変えたことを理由に、共有済みのFileやChatが見えなくなるとは判断しません。[E1]
3. 共有リンクの参加可能範囲
共有Projectのリンクは、project-only memoryとは別の設定です。共有設定には「Only those invited」と「Anyone with a link」があります。「Anyone with a link」なら、リンクを持つログイン済みChatGPTユーザーがshared projectに参加できます。誰でもインターネットから参加できるという意味ではありませんが、リンクの転送先まで自動的に限定されるとも読まないでください。オーナーは後から「Only those invited」へ戻せます。[E1]
Workspace linkを使う環境では、Workspace内のメンバーをリンクで招待でき、参加時の権限は原則chat accessで、あとからeditへ変更できます。一方、実際のWorkspaceの共有可否、管理者制御、現在のメンバーはこの稿で確認していません。画面に表示される範囲を確認し、推測で補いません。[E1]
Projectを共有するリンクと、単一Chatを共有するリンクは同じではありません。個人Projectから単一Chatを共有した場合に見られるのは共有したChatだけで、元のProjectにはアクセスできません。shared projectから単一Chatを共有した場合は、受け手がProjectに参加するまでそのChatを見られません。[E1]
共有前には、次の項目を記録します。
- 共有設定が「Only those invited」か「Anyone with a link」か。
- Workspace link、個別招待、グループ招待のどれか。
- リンク参加者の範囲と、参加時のchat/edit権限。
- 現在のメンバー、各メンバーの権限、Project内のChatを閲覧できる範囲。
- Fileを誰が閲覧・ダウンロードできるか。
- Workspaceや管理者の制御が別にあるか。
Workspace linkで共有したあと、メンバーを外しただけで新規参加まで止まったと判断しないことも重要です。公式資料は、Workspace linkで共有したProjectでは、共有設定を「Only those invited」に変更しない限り、新しいユーザーがリンクから参加できる場合があると説明しています。新しい参加を止めるときは、共有設定を招待限定へ戻し、既存メンバーの一覧と権限を確認します。[E1]
仮想例:合成資料1件・質問1件で行う最小確認
ここからはMASTER key側の編集提案です。OpenAIの必須手順や安全保証ではありません。
初回確認では、実在の顧客、従業員、契約、個人、認証、財務、営業秘密のデータを使いません。以下は仮想例です。
仮想資料(1件)
- 仮想案件ID:TEST-001
- 納期:9月30日
- 注意書き:資料にない情報は不明とする。
読み取り中心の質問(1件)
この仮想資料に書かれた納期だけを答えてください。書かれていない情報は不明としてください。
確認の手順は次のとおりです。
- 共有していないテスト用Projectで、Memoryの現在値と選択肢を記録する。
- 上の仮想資料だけを置き、外部アプリ、外部送信、File更新、業務システム操作を行わない。
- Memory設定を変更する場合は、変更日時と反映待ちを記録する。変更しない場合も、現在値を記録する。
- 公式資料が示す反映待ち時間を踏まえ、確認時刻を分けて質問する。
- 回答を仮想資料へ戻して人が照合し、資料に書かれた事実と、書かれていない推測を分けて記録する。
- 共有範囲を確認する必要がある場合も、実データのProjectでリンクを生成・配布せず、共有画面に表示された設定、参加可能範囲、権限、現在のメンバーを記録する。
- 設定表示、参照範囲、共有リンクの参加可能範囲、確認者、停止方法のいずれかが不明なら、実データ投入や共有拡大へ進まず保留する。
確認記録テンプレート
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| Projectの共有状態 | 未共有/共有済み。共有済みならメンバーと権限 |
| Memoryの表示 | 表示された選択肢、現在値 |
| 変更記録 | 選択値、保存日時、反映確認日時 |
| 共有リンク設定 | Only those invited/Anyone with a link/Workspace link/未確認 |
| リンクの参加範囲 | 招待対象、ログイン要件、Workspaceの範囲、参加時の権限 |
| 資料 | 仮想資料1件の識別子 |
| 質問 | 読み取り中心の質問1件 |
| 人の照合 | 照合者、資料の根拠、未確認事項 |
| Chat・Fileの範囲 | Chatの閲覧・操作範囲と、Fileの閲覧・編集・ダウンロード範囲 |
| 停止方法 | 招待限定への変更、メンバー削除、管理者への確認先 |
| 保留理由 | 設定・範囲・確認者・停止方法のうち不明な項目 |
この一件で回答が返ったとしても、それは特定アカウントでの一回の確認結果です。正確性、再現性、機密性、業務改善、法令適合の証明には広げません。共有画面の表示を確認しただけでも、実際に誰がリンクを受け取ったか、参加後に何を見たかを確認したことにはなりません。
Memory設定だけでは決められないこと
project-only memoryの設定から、次の結論を直接導かないでください。
- 情報漏えいゼロ、完全な機密性、法令適合が保証された。
- AIの回答が正確になる、または人の確認が不要になる。
- Project内のFileやChatが共有メンバーから見えなくなる。
- 「Anyone with a link」の設定で、リンクを持つログイン済みChatGPTユーザー以外まで参加できる、または逆にリンクを知る人の参加を完全に防げる。
- 共有設定を変えずにメンバーを外せば、新しいリンク参加も必ず止まる。
- すべての日本語UI、プラン、地域、Workspaceで同じ設定が表示される。
- 作業時間短縮、売上、問い合わせ、導入効果が確認できた。
E1にはWorkspaceのFeature toggle、Data controls、Retention、Data residencyなど、Workspaceやデータ取扱いに関する説明もあります。ただし、これはOpenAIの製品・データポリシーの説明であり、個別契約の解釈、法的助言、監査結果、機密性の保証ではありません。必要な確認先を自社の管理者・契約担当・法務へ戻します。[E1]
MASTER key側の考え方(編集提案)
このテーマで機能の有効化だけをゴールにしないため、MASTER key株式会社AX事業部が提示する判断軸を、次の5点に分けます。
- 文脈:Project内外の会話や保存済みMemoryを、どこまで参照する設定なのか。
- 参加範囲:共有リンクが招待限定なのか、リンクを持つログイン済みChatGPTユーザーまで開いているのか。
- 権限:誰がProject内のChatやFileを見て、編集し、Fileをダウンロードできるのか。
- 確認者:設定表示、共有画面、資料の根拠、回答の範囲を誰が照合するのか。
- 停止線:リンクの参加範囲や設定が説明できないとき、どこで保留するのか。
これはMASTER key側の編集提案であり、顧客成果や自社の実機検証を示すものではありません。AI活用や業務変革を始めるとき、1つの設定変更を使えるようになったとまとめず、文脈・参加範囲・権限・確認・停止に分けて記録するための見方です。
まとめ:切替より先に、条件と共有範囲を記録する
最後に、次に確認する順番だけを残します。
- 未共有の既存Projectで選択肢が表示されるなら、Default memoryとProject-only memoryのどちらを選ぶか、業務の文脈単位で決める。
- shared projectなら、project-only memoryのままでDefaultへ戻せないことを前提に、メンバーのchat/edit権限、Chatの範囲、Fileの閲覧・ダウンロード範囲を確認する。
- 共有リンクを使うなら、「Only those invited」か「Anyone with a link」かを確認する。「Anyone with a link」ではリンクを持つログイン済みChatGPTユーザーが参加できるため、Workspace linkを使った場合も含め、現在のメンバー、参加時の権限、新規参加を止める方法を記録する。[E1]
- Memoryが表示されないなら、個人設定、Workspace設定、プラン・アカウント条件を確認し、不明な点は管理者・契約担当へ戻す。
- 実データを入れる前に、合成資料1件と質問1件で人が照合する。設定、参照範囲、共有リンクの参加可能範囲、停止方法のどれかが説明できなければ保留する。
まずは共有していないテスト用Projectで、Memoryの表示と共有画面の現在値を記録します。リンクを誰が使えるか、参加後に何が見えるか、止め方のいずれかが説明できないなら、リンクを配布せず管理者・契約担当へ戻してください。