2026.10.06
AIへの頼み方を比べるなら、同じ題材と確認項目で

AIに文章を短くしてもらうとき、頼み方を少し変えるだけで、残る情報が変わることがあります。二つの依頼文を比べるなら、元の文章と「何を確かめるか」を同じにします。題材も確認項目も変えると、出力の違いがどちらの影響なのか分かりにくくなるからです。
ここでは、架空の資料返却案内を使って、条件の書き方を一つ加えた依頼文を比べます。後に載せる出力例は、比較のしかたを説明するために作った例で、AIに入力して得た結果ではありません。
まず、比べる条件を決める
今回の作業は「案内文を短くする」ことです。二つの依頼文には、同じ元文を使います。AIサービスも同じものにし、使うモデルや設定を選べる場合は、できる範囲でそろえます。依頼文以外の条件をいくつも同時に変えないためです。
元にする文章
資料を借りた方は、10月15日までに受付へ返却してください。期限を過ぎる場合は担当者に相談してください。資料を紛失・破損した場合は、返却時に申し出てください。
依頼文A
次の案内文を、意味を変えずに短くしてください。
依頼文B
次の案内文を、意味を変えずに短くしてください。特に、①返却期限は10月15日、②返却先は受付、③期限を過ぎる場合は担当者に相談すること、④紛失・破損があれば返却時に申し出ることを残してください。
どちらにも、上の同じ元文を続けて入力します。違いは、Bに残したい条件を明記したことです。新しいチャットを一つずつ開いて試すと、片方の返答がもう片方の会話に混ざりません。
出力を元の文章に戻って確かめる
次は、二つの依頼文から出たと仮定した説明用の例です。実際の出力を比べるときも、文章の読みやすさだけで決めず、同じ確認項目を両方に使います。
| 確認すること | 元の文章 | Aの例 | Bの例 |
|---|---|---|---|
| 返却期限 | 10月15日 | 10月15日 | 10月15日 |
| 返却先 | 受付 | 受付 | 受付 |
| 期限を過ぎる場合 | 担当者に相談 | 担当者に相談 | 担当者に相談 |
| 紛失・破損がある場合 | 返却時に申し出る | 担当者に相談する | 返却時に申し出る |
Aの例は短く読めますが、「返却時に申し出る」という行動と時点が変わっています。表現が自然でも、必要な条件がずれた案は採用できません。Bの例は四つの条件を保っています。実際に試す場合は、各項目に「残っている」「変わった」「抜けている」「元文にない内容が足された」の印を付けると、違いを説明しやすくなります。
期限や相手、金額など、間違えると困る項目は、AIの返答だけでなく元文にも戻って照らし合わせます。元文にない条件が足されていた場合も、そのまま案内に混ぜず、必要な情報か人に確認してください。
試すときの小さな手順
- 文章の短縮など、間違いを自分で見つけられる作業を一つ選びます。
- 公開してよい架空の文章を用意し、二つの依頼文に同じ文章を入れます。
- 「期限」「場所」のように、残ってほしい確認項目を先に決めます。
- 同じAIサービスでAとBを別々に試し、出力を元文と照らし合わせます。
- 必須項目が保たれている案だけを候補にします。両方に抜けがあれば、どちらかを選ばず、抜けた条件を一つだけ明記して試し直すか、自分で直します。
一度の比較で分かるのは、その文章とその条件での違いです。別の仕事でもいつもBがよい、とまでは言えません。よく使う依頼文として決めるなら、実際に使う場面に近い別の例でも確認します。
仕事の文章を入力してよいか確認する
例文で試す段階では、実在の顧客名、個人情報、社内限定の内容、認証情報を入れないでください。実際の仕事の文章を使う場合は、勤務先のルールと利用するAIサービスの条件を先に確かめます。名前を消しても、固有の日時や出来事から誰の話か分かることがあります。迷う場合は、架空の文で手順だけ試し、実データは入力しません。
まず一組だけ作る
次にAIへの頼み方を比べるときは、同じ元文を二つの依頼文に貼り、残したい条件を一つずつ照合してみてください。言い回しの好みと、仕事に必要な情報が保たれているかを分けて見られます。
参考
OpenAIの公式ガイドは、モデルの出力には非決定性があり、複雑なアプリケーションではプロンプトの挙動を測るテストや評価を勧めています。ここで紹介したのは、日常の文章一件を見比べるための簡易な確認方法です。一般にどちらの依頼文が優れているかを示すものではありません。確認日:2026年10月6日。OpenAI「Prompt engineering」


