「会議が終わってから、議事録を書くのに時間がかかっている」
「メモを取ることに必死で、話に集中できない」
会議のあとの作業について、こうしたご相談をいただくことがあります。
会議は、終わってからが本番になりがちです。話した内容を思い出しながら、決まったことと次にやることを整理する。この作業に、会議と同じくらいの時間がかかることもあります。
この部分は、AIに任せられます。 録音を渡すか、会議ツールの文字起こしを使うかの2通りです。
この記事では、それぞれの手順と、無料でどこまでできるかを説明します。あわせて、録音する前に確認しておくことも書きます。
01
会議の後に、もう一度時間を使っている
メモを取りながら話を聞き、終わってからまとめ直す。この二度手間がなくなります。
いまの状態
- 会議中はメモを取ることに必死で、議論に集中できない
- 終わってから、メモを見ながら議事録の形に整える
- 決まったことと、次にやることが抜ける
メモが追いつかないと、後で思い出せません。 思い出せないと、確認のやり取りが発生します。
何が変わるか
✗ これまで
メモを取りながら聞く → 後で議事録に書き直す
✓ これから
話に集中する → 録音を渡す → 出てきた議事録を直す
書く作業が、確認する作業に変わります。
02
やり方は2通り
録音を渡すか、会議ツールに任せるか。使っているツールで決まります。
- 録音してAIに渡す対面の会議・電話・スマホで録った音声
- Teams や Meet の文字起こしオンライン会議。録画すると自動で始まる
Microsoft 365 や Google Workspace を使っているなら、後者のほうが手間が少なくなります。対面の会議が多いなら前者です。
03
【1】録音してAIに渡す
音声ファイルをそのまま渡せます。ただし無料では合計10分までです。
手順
スマートフォンのボイスメモなどで会議を録音する
AI(Gemini など)のチャット画面に音声ファイルをドラッグする
議事録の形に整える指示を出す
MP3、WAV など、よく使う音声形式に対応しています。変換の手間は要りません。
★ここに制限があります
Google の公式ヘルプにこう書かれています。
音声の長さは合計 10 分までです。Google AI Pro または Google AI Ultra にアップグレードすると、合計 3 時間までの音声をアップロードできます
- 無料プラン音声は合計10分まで
- Google AI Pro / Ultra合計3時間まで
30分や1時間の会議は、無料では読み込めません。 ここが有料を検討する分かれ目になります。
短い打ち合わせや電話であれば、無料の範囲で足ります。
04
【2】Teams や Meet の文字起こしを使う
会議を記録すると、文字起こしが自動で始まります。
Teams の手順
Microsoft の公式にはこう書かれています。
会議を記録すると、文字起こしが自動的に開始されます
文字起こしだけを始めたい場合は、次の順です。
会議コントロールの「その他のアクション」を開く
「レコーディングと文字起こし」を選ぶ
「文字起こしの開始」を選ぶ
会議で話す言語を確認する
会議のあと、チャットに出るトランスクリプトをWord形式でダウンロードできます。
★言語の設定を確認する
公式にこう書かれています。
文字起こしの精度を確保するには、会議の話し言葉が全員が話している言語を反映していることを確認します
言語がずれていると、精度が落ちます。 ずれている場合、Teams が検出して更新を促します。
参加者に通知されます
すべての参加者に、会議のトランスクリプションが行われていることが通知されます
黙って録るということはできません。 これは後述する確認の話につながります。
05
議事録の形に整える
文字起こしのままでは使えません。整える指示を出します。
そのままでは読めない
文字起こしをそのまま配ると、「えー」「あの」といった言葉がそのまま並びます。誰が話したかも分かりません。
この文字起こしをもとに、配布できる議事録に整えてください。 ・「えー」「あの」などの言い淀みは除いてください ・議題ごとに見出しを付けてください ・決定事項と、次にやること(担当者つき)を分けてください ・音声から分かる範囲で、話し手を区別してください
会社に議事録のテンプレートがあるなら、その形を指定します。
補足するのは、音声にない情報だけ
日付、参加者の氏名、場所。これらは音声から分からないことがあります。出てきた議事録に、後から足します。
やることは、それだけです。
06
毎回使うなら、登録しておく
同じ指示を毎回打ち直す必要はありません。
Gemini の「Gem」に、議事録用の指示を登録しておけます。次からは音声を入れるだけで、決まった形式で返ってきます。
Gem は無料プランでも作れます。
作り方
Gem の作成を開く
名前をつける(「議事録」など)
上のような指示を書いて保存する
以後は、そのGemに音声を渡すだけです。
ChatGPT や Copilot でも、カスタム指示に同じ内容を書いておけます。
07
録音の精度を上げる
精度は置き場所と話し方で変わります。ここは人がやる部分です。
- 録音機を机の中央に置く端に置くと遠い人の声が拾えない
- 発言の前に名前を言う「営業の田中です」で話し手が分かる
- 言語の設定を合わせるTeams・Meet は設定した言語で処理される
- 専門用語は先に伝える社内用語は誤変換されやすい
固有名詞は間違えます
複数の発信者が、同じ指摘をしています。社名・人名・製品名は、誤変換されることがあります。
会議の前に、その日出てくる固有名詞をメモしておき、議事録を整えるときに指示へ含めると精度が上がります。
次の固有名詞は、この表記で統一してください。 ◯◯商事/△△システム/□□プロジェクト
08
文字起こし以外にもできる
議事録を作るだけで終わりません。
繰り返し挙がっていた使い方です。
決まったことと、決まらなかったことを分ける
この会議で決まったことと、決まらなかったこと(持ち帰りになったこと)を 分けてまとめてください。
話しているうちに流れてしまう議題があります。 そこを拾えます。
次にやることを一覧にする
この会議から、次にやることを一覧にしてください。 誰が、いつまでに、何をするかが分かる形にしてください。
会議で盛り上がったが、次に何をするか分からない。この状態を防げます。
商談の振り返りに使う
営業の商談を録音しておくと、聞けていなかったこと、提案が足りなかった点を挙げさせられます。
1人で商談に行くことが多い場合、客観的な振り返りの材料になります。
09
専用機という選択肢
カードサイズの録音機も出ています。ただし費用の見方に注意が必要です。
Plaud、Anker、TALIX など、AI搭載の小型レコーダーが複数出ています。スマートフォンの背面に付けられる薄さで、ボタンひとつで録音が始まります。
見るべきは本体価格ではありません
- 本体価格一度きり
- 月の録音時間の上限超えると使えない
- 文字起こしの文字数上限超えると使えない
- AI要約が別料金か無料に含まれるかは製品による
本体を買って終わりとは限りません。 「使えば使うほどコストがかかる」点は、繰り返し指摘されています。
いま使っているAIで足りるかを先に確かめ、それでも足りない場合に検討する順番をおすすめします。
10
向いていないケース
会議の性質によっては、向きません。
- 録音の同意が取れない会議使わない
- 数字の正確さが決定的な会議必ず元の音声で確認する
- 発言者が多く、声が重なる会議話し手の区別が難しい
- 機密性の高い内容渡す範囲と契約を先に確認する
そのまま配らない
出てきた議事録は下書きです。日付、金額、担当者名、決定事項の文言は、必ず自分で確認してください。
議事録は、後から「そう決まった」という根拠になります。間違ったまま配ると、後で問題になります。
11
録音してよいか、先に確認する
ここは技術の話ではありません。進める前に必ず確認してください。
- 社内の会議参加者に伝える。Teams は自動で通知される
- 社外との商談冒頭で「録音してよいか」を確認する
- 録音データの扱い会社のアカウント・学習に使われない設定
参加者に伝える
Teams では、文字起こしを開始すると全員に通知されます。公式に明記されています。
通知されない方法で録音する場合も、参加者に伝えてください。 後から「録られていた」と分かると、信頼の問題になります。
社外との会議
取引先との商談を録音する場合、相手の同意が要ります。 冒頭で「記録のために録音してよいか」を確認するのが確実です。
会社の規定
録音データをどのAIに渡すかは、会社の規定によります。会議の内容には、取引先の情報や社内の未公開情報が含まれます。
会社のアカウントを使い、学習に使われない設定になっているかを先に確認してください。
12
よくある質問
- 無料でできますか
- 短い会議ならできます。ただし Gemini に音声を渡す場合、無料プランでは合計10分までと公式に記載されています。30分以上の会議を扱うなら、Google AI Pro などの検討が必要です。Teams や Google Meet の文字起こしは、契約しているライセンスによります。
- 対面の会議でも使えますか
- 使えます。スマートフォンのボイスメモで録音し、その音声をAIに渡します。録音機を机の中央に置き、発言の前に名前を言うと精度が上がります。
- 固有名詞が間違って変換されます
- 社名・人名・製品名は誤変換されやすい部分です。議事録を整えるときに「この固有名詞はこの表記で統一してください」と指示に含めてください。
- 専用のAIレコーダーは買ったほうがいいですか
- まず、いま使っているAIで足りるかを試してください。専用機は本体価格のほかに、月の録音時間や文字数の上限がある場合があります。無料と書かれていても、どこまでが無料かを確認してください。
- 録音するとき、相手に伝えるべきですか
- 伝えてください。Teams では文字起こしを開始すると全員に通知されます。社外との会議では、冒頭で確認するのが確実です。
13
まとめ
議事録は、書くものから整えるものに変わります。ただし無料の範囲と、録音の確認は先に押さえてください。
- 録音を渡す対面・電話向け。無料は音声10分まで
- Teams・Meetオンライン会議。記録すると自動で始まる
- 整える言い淀みを除き、決定事項とToDoを分ける
- 登録するGem やカスタム指示に入れて、毎回同じ形に
- 確認する録音してよいか。会社の規定と相手の同意
何から始めるか
まず、次の短い打ち合わせを1つ録音してみてください。 10分程度のものが向いています。
その音声をAIに渡して、議事録の形に整えさせます。返ってきたものと、自分の記憶を照らしてください。決定事項が正しく拾えていれば、この方法は使えます。
うまくいったら、その指示を Gem やカスタム指示に登録します。次からは音声を渡すだけになります。
そして、録音する前に必ず参加者へ伝えてください。 手順よりも、こちらが先です。