2026.09.30
AIに返信案を作らせる前に。長い依頼文の「未確認点」を見つける方法

長い依頼文をそのままAIに渡すと、書かれていない条件まで補って、もっともらしい返信案を作ることがあります。先に「依頼文に書いてあること」と「相手に確認すること」を分けると、思い込みを見つけやすくなります。
ここでは、架空の社内依頼文を使って、返信を書く前の確認点を一つ見つける方法を紹介します。メール本文を丸ごと貼る必要はありません。確認したい箇所だけを使えます。
今回の作業を小さく分ける
最初にAIへ頼むのは、返信文の完成ではなく依頼文の整理です。
- 明記された条件:依頼文に実際に書かれていること
- 未確認の条件:書かれておらず、作業の進め方に影響すること
- 質問候補:未確認の条件を埋めるため、依頼者に尋ねること
「依頼者はこういうつもりだろう」と推測するのではなく、文面に根拠があるかを一つずつ確かめます。依頼文の整理と返答案の作成を別の依頼にするのがポイントです。
架空の依頼文で試す
例として、次の依頼が来たとします。
社内説明会の案内を作ってください。A4一枚で、社内ポータルに載せます。新しい予約フォームの使い方を紹介したいです。たたき台は今週金曜までにお願いします。
この文から分かるのは、社内説明会の案内を作ること、A4一枚にすること、社内ポータルに載せること、新しい予約フォームの使い方を扱うこと、たたき台の期限が今週金曜であることです。
一方、「誰が、どの手順で予約するのか」は書かれていません。ここをAIに補わせると、実際にはない操作手順を案内へ入れてしまうかもしれません。まず確認したいのは、予約手順の情報です。
そのまま使える依頼文
AIチャットを開き、下の指示と、確認したい依頼文だけを貼り付けます。依頼文が長い場合は、目的・条件・期限が書かれた部分に絞ります。
次の依頼文を整理してください。返信案はまだ作らないでください。
1. 依頼文に明記されている条件を、根拠となる原文の短い抜き出しと一緒に箇条書きにしてください。
2. 作業を進めるのに未確認の条件を挙げてください。依頼文から分からない場合は「記載なし」としてください。
3. 今確認しないと下書きの内容が変わる質問を、優先順に最大3つ挙げてください。
依頼文に書かれていないことを事実のように補わず、推測は推測と明記してください。
依頼文:
(ここに確認したい文章を貼る)
指示は、何をしてほしいか、何をまだしないか、どんな形で答えてほしいかの順に並べています。依頼を具体的に書き、結果を見て調整する方法は、OpenAIの案内でも勧められています。ChatGPT向けプロンプト作成の案内では、十分な文脈を添えて明確に頼み、回答を見直して必要に応じて調整する方法が説明されています。
出力例と、原文との照合
この架空の文に対しては、たとえば次のような整理が返るでしょう。
明記された条件
- 案内を作る:「社内説明会の案内を作ってください」
- 形式と掲載先:「A4一枚」「社内ポータルに載せます」
- 扱う内容:「新しい予約フォームの使い方」
- たたき台の期限:「今週金曜まで」
未確認の条件
- 予約フォームの操作手順は記載なし。
- 誰が使うフォームかは記載なし。
先に確認する質問の候補
- 「案内に載せる予約手順と、利用する人の範囲を教えてください。」
これは出力例です。実際のAIの回答が同じになるとは限りません。返ってきた箇条書きをそのまま採用せず、各項目を元の依頼文に照らします。
- 抜き出しは原文と一致するか:原文にない言い換えが条件へ混じっていないか見ます。
- 推測が事実扱いされていないか:「全社員向け」など、文面にない条件は未確認へ戻します。
- 質問は今必要か:答えがないと下書きの内容を決められない質問を先に残します。まだ影響しない質問は後回しにできます。
- 大事な条件の抜けはないか:期限、掲載先、形式など、依頼文に書いてある条件が出力から抜けていないか確認します。
この例なら、予約の手順が分かる資料と、対象者を依頼者に尋ねてから下書きを始めます。質問を何個も返すより、最初の下書きに影響する確認を一つにまとめられるか考えてみてください。
入力してよい文章か先に確認する
顧客名・連絡先・識別番号、未公開の社内情報、契約条件、認証情報などは入力しないでください。必要な場合は、組織のルールで利用が認められたサービスを使い、固有名詞や具体的な数値を架空の表現へ置き換えます。置き換えても個人や顧客が分かるなら、その文章は使わないでください。
ChatGPTでは、データの設定や利用できる項目がアカウントやワークスペースによって異なります。また、学習への利用を止める設定をしても会話履歴は残る場合があり、一時チャットも安全目的で最大30日保持される場合があります。ChatGPTのデータ設定を確認し、設定を変えれば機密情報を入力してよい、と考えないようにします。
小さな一歩
次に届いた依頼文から、まず「明記されている条件を二つ」と「まだ聞くべき条件を一つ」を書き分けてみてください。AIに整理を頼む場合も、原文との照合を済ませてから質問へ使います。AIの返答は誤りや誤解を招く内容を含む場合があるため、重要な点は原文や信頼できる資料で確かめてください。ChatGPTの回答を確かめるための案内も参照できます。
確認時点:2026年9月30日。 AIサービスの機能やデータ設定は変更されることがあります。最新の項目名や取り扱いは、利用するサービスと組織の案内で確認してください。


